指導者の条件(6) - 日本型組織の再構成

西欧と日本の組織の相違点

組織を成り立たせている基本が「人と人の関係」であり、それを律しているものがその社会の伝統的な規範であり、その規範と相関連する各人の精神構造であることを考えると、西欧と日本とでは伝統的な規範、精神構造からして異なる。

西欧の組織
中央に抽象的な中心があり、個別にそれと契約関係を結び、その結果横の関係も成立
  1. 荒野と契約 
  2. 僧院組織 
  3. 奴隷制 
  4. 幾何学的整合性

彼らの発想には宗教的信仰にまでシステムが入ってくる。したがって彼らには、内心の規制と外面の規制の間に乖離がなく、その組織は彼らの精神にとって「当たり前」の状態であって、違和感を抱く必要がないわけである。

そして組織が、血縁や地縁と関係なく、契約を絶対視し、契約尊守を制約することで成り立つと最初にかんがえたのは、おそらくモーゼと彼に従う人々であったろう。さて、こういう減少を生じたのは、彼らが「荒野の民」であり、「単独では生存不可能な存在」であり、そこで、「契約の箱」を先頭に立てて行進することによって、初めて、一定の目的に対応しうる組織となり得たからである。

日本の組織
稲作的風土が否応なく生み出した秩序を内心の規範として「和」を重んじる
  1. 定住
  2. 気候的循環への対応
  3. 全員一斉の行動を可能にするための総合の決断と和
  4. その要請に基づく血縁および擬制の血縁関係による家族的決断
  5. それを可能にするための家族的決断
  6. 調和を乱す者の排除

家族であるために、情況に応じて速やかに組織を再編成して新しい情況に対処することができず、そのままの状態でギリギリまでがんばって、一気に崩壊するわけである

「契約」の違いがもたらす行動パターン

西欧
自己を契約により絶対的な存在である神に対して相対的なものと位置付ける → 「誓いの禁止」 → 自己を縛るものは絶対者との契約のみであり、自己を自己で規定してしまうことはない

「企業に忠誠を誓うか、社長に忠誠を誓うか」と問われれば、われわれはそれを含めて一切の誓いを拒否する。われわれは企業の奴隷でもなければ、社長の奴隷でもない。しかし誤解しないでほしい。われわれはもっとも忠実な社員である。したがって、もしあなたが、「会社の定款及び社規・社則ならびにこれに準拠した社内の慣行を尊守すると神に向かって断言するか」と問われれば、われわれは喜んで「断言します」と答える」と。

日本
自己の好む対象を引き合いに出して、恣意的に誓う(自罰的誓い) → 「何かあれば自分を自分で処罰せよ」