はてな記法「*t*」と「定刻発車」の関係性(その2)

別になんの関係もないけど、まあノリということで。

定刻発車―日本の鉄道はなぜ世界で最も正確なのか? (新潮文庫)

定刻発車―日本の鉄道はなぜ世界で最も正確なのか? (新潮文庫)

定時運転が日本に根付いた背景

定時運行も含めて鉄道システムが日本にしっくりと定着した理由は、

  • 時間による行動の管理手法が江戸時代にはすでに民衆の中にも浸透していた
  • 参勤交代などの大規模プロジェクトを通して、「物事をつつがなく実行する能力」を培ってきた
  • 旅行の一般化
  • 鈴なりになって発展した都市

参勤交代というといのは、いわば現在の無責任極まりないOJTになるんでしょうか。

最初の大きな変化としては、電気化があげられる。電気化により個々の運転手の能力によるブレを減らすと同時に高速化を果たした。そして、郊外から都心に向かう民族大移動の人々をさばくことを実現するには、時間間隔を詰めた上で本数を増大させる必要があり、駅構内を含めてシステム全体としての最適化が進むことになった。
これが現在までの鉄道システムの大きな流れである。

定時運転の基本思想

定時運転をシステムとして支えるには、

  1. 「遅れない鉄道」をつくる
  2. 「遅れてもすぐに回復する鉄道」をつくる

という思想を基本としている。

問題解決のためにシステム側が公開するべき情報とは

鉄道においては障害発生時には、遅延の程度を押さえることも重要だが、まずは流れていること自体が最重要である。

とりあえず、動いてくれさえすれば、そこからのアクションの選択肢が増えるので、最適な行動の選択肢をとることができる。その結果、客の分散を進めることが出来、一部の駅や路線などに客が集中することを避けることができる。

ということからすると、障害発生時に鉄道会社が客に伝えるべき情報は、個々の遅延の有無よりも「機能」しているかどうか、つまり現状のシステムの症状を客に俯瞰させることが、個々の客の問題解決にはつながる、ということであろう。

この辺りは2chの交通情報板において、無線を傍受により得られた、もしくは個々が実際に巻き込まれて得られた情報から、個々の目的に合った選択肢を見つける、若しくはその板の住民が解決方法を提示していることからも、問題の解決手法としては正しいのだろうと思われる。

先日東京で震度5強の地震があったが、その際鉄道システムとしては大規模な混乱が生じていた。その際も住人がシステムとしての回復に関してある程度の読みを発揮し、仮にその仮説が正しかったならば先ずどこまでたどり着けばいいのか、又は他の移動手段により解決し得るものかを検討していた。ま、一般化するには厳しい問題だとは思うが。

さらに論を進めると、どのような情報を開示すれば、自分のシステムにとって最適になるのかを考えねばならない。しかし、それを鉄道会社が自前で考えるのは面倒なので(笑)、とりあえず運行システムの状況をオープンにすればいいよね、というのが筆者の最終的な提案。

この辺は自動車の交通網にも言えることだが、渋滞情報に関しては味付けしたうえで網をコントロールしようという研究もあるのだから、なかなか素の情報を得ることは厳しいのかな。ま、ある種の既得権益だし。

問題発生時の解決手段は、ソフトウェアとハードウェアに事前に組み込まれている

さて、発生してしまった障害を緩和するには、溜まったものを一時的に貯めるなり、捨てるなりするための何らかのバッファーが用意されていないといけない。それが鉄道システムにおいては、スジとインフラ(例えば駅、線路であったり、構内そのもの)において事前に用意されている。

新線開発時には周辺の需要予測と経営方針を考慮して輸送の構想を作り、それをもとにソフトウェア(スジ)とハードウェア(インフラ)を煮詰めていく。いわば、スジというものは、想定されている問題を寄与の制約条件のもとに解決し、ダイヤとして表現したものといえるだろう。まあ、これ見るといろんなことが読み取れるそうですが、なかなか興味深いです。

スジには時間のバッファが儲けられており、均一に設けているのではなく、発生しやすい箇所に多く付けられている。逆にいえば、ターミナルでしかバッファの操作による遅れの解消が出来ないという仕様は、路線や駅構内の計画(ハードウェア)とも密接に絡み合っている。
ただし、バッファで対応できない遅れが複合的に生じたならば、基本ダイヤは捨てて、代役のダイアにふることになります。