はてな記法「*t*」と「定刻発車」の関係性(その3)

鉄道における適応力の質が変わる

量的拡大に対して見せた日本の鉄道の驚異的な適応力が、今後どうなるのか?という話です。

小さなストックで大きなフローをさばく
日本の鉄道システムの特徴を一言で表現するならこれでしょう。

現状を整理すると

  • 「安全」「正確」を現状の鉄道システムのまま維持し得るものなのか?
  • 仮に維持するとしても、それを維持する社員の気質も変化しており、それに鉄道はシステムとして対応せねばならない
  • 客の求めるもの、ライフスタイルの変化に鉄道はシステムとして対応できるのか

ということ。

日本流「ゆとり」のつくり方

ストックを増やす方法ではなく、既存の鉄道ネットワークの組替え、情報システムによる利便性向上、鉄道マンの仕事の仕方の組替え、など新しい発想の元に利用者のみならず社員もその「ゆとり」を享受できるシステムをデザインすることが肝要だ。

その観点から、終点駅での折返し運転による交差支障を減らすことを目的とした、複数の路線の乗り入れによる直通運転、つまり鉄道ネットワークの組換えを高く評価している。

情報技術による情報開示

鉄道システムが知らない間に吸い上げているデータというものを一般に公開することで、利用者の利便性を解決しよう、ということである。いきなり全面的に行なうことは難しいであろうが、段階的に行なうことは可能ではないか? 

システムにより提示された情報を元に、鉄道マンが個別の判断することが可能になる。その結果、障害解消までの時間を短縮することも可能であろうし、さらなる柔軟な運転も可能になるであろう。もちろん、システムでなんらかの一定の制約をかけることは必要だが。

スジ屋を計算機で置き換えることは可能か?

スジ屋の仕事には大局観や直観が求められるため、将棋との類似点がある。
仮に置き換えが可能だとしても、ただ代替するためにそれ以上のコストをかけるのであれば、ビジネス上は価値がないと判断されるであろう。しかし、直観から外れた解決法を計算機が発見する可能性もある。

鉄道システムのこれから

これまで鉄道システムは、いかに安全且つ迅速に人をさばくかを追求してきた。しかし、これからの鉄道システムに求められるものは、もう少し広く複合的な問題を解決せねばならず、その最終的な良し悪しの判断は利用者に委ねられる。それに対して鉄道システムが出来ることの一つは、今以上に生のデータを公開することであろう。それにより内外を問わず、そのデータを利用し利用者に貢献できるサービスを生むことになる。

つまり、鉄道会社としては自分の役割を大きく捉えなおし、外部との関係性を洗い直すことが求められる。その中で確実性がある場合は、自ら動きアライアンスを組み成果を出せばいいだろう。その成功例としては、エキナカが挙げられるのではないかと思う。

その反対に、先が読めず不確実性のある部分にどう対処すべきかであるが、利便性を向上させるような新たな目を自ら摘まないためにも、とりあえずデータを外に出してみることが最初のステップである。何が生まれるのかわからないが、まあのんびりとお茶をすすりながら反応を見るのがいいのでは、ということだろう。当然思いついたら自前でがつがつやってもいいわけだし、社内ベンチャーという形式もありだろう。


この最後のお話はオープンソースなどにも通じる話であり、また前半部分はシステムの安定性をどう保持するか、という意味では非常に興味深い話である。